2021年1月13日
Backcastingからバックキャスト思考への道のり~ライフスタイルデザインの誕生~
Backcastingではゴールを設定する必要があるが、Robinson J.B(1982)の論文では「再生可能資源」、「ソフトテクノロジー」、「エネルギー生産の分散化」がゴールとして例示されていた。私はこれらの資源、技術、エネルギーシステムというレベルをゴールとするのではなく、さらに上位概念のライフスタイルをゴールとして設定すべきだと考えた。つまり、再生可能資源やソフトテクノロジーを用い、エネルギー生産が分散化された社会は、具体的にはどのような生活シーンになり、その中に含まれているライフスタイルはどのようなものだろうか、ということまで検討する必要があると考えたのである。ライフスタイルとは、例えば、「自然エネルギーをシェアするライフスタイル」、というような概念を指しており、具体的にどのような道具を使い、仕組みや制度を設け、どのような価値観で暮らすのかという具体的な生活シーンに含まれる概念である。これは既存の価値観の延長線上にあるのではなく、非連続に違いなく、しかし、何かを根拠に導出するのが良いと考えたのである。破壊的イノベーションに近い概念かもしれない。こうして、環境制約を根拠に、その条件の中で心の豊かさを最大限にするライフスタイルをデザインする方法、すなわち、バックキャストによるライフスタイルデザイン手法が誕生したのである。