コラム68

2020年7月22日

90歳が私に伝えようとしたこと~感謝しきれないので物にも感謝する~

 

100歳の方が「私は90歳までは自分一人で生きていけた。自分で食事をつくり、物をつくり、誰にも迷惑をかけずに生きてきた。しかし、その後、目が見えなくなり、家族の助けなしでは生きていけなくなった。だから、毎日、家族に感謝している。いつも感謝している。最近は感謝しきれないので、物にも感謝するようになった。」とおっしゃっていた。このエピソードはいろいろなところで話をしているが、物に感謝をする気持ちとはどのようなものなのか考えさせられた。物は誰かが作ったものである。お茶碗を使えば、それを作った人に感謝する。木に感謝をする。そういうことなのだと思う。ここで100歳の方が話題にしていたことは、44の失われつつある暮らしの価値の12番「自然物に手を合わせる」、44番「生かされて生きる」に関係するのだと思う。多くの90歳の方々は、「生かされている」という感覚があることを述べていたことを思い出す。