コラム37

2019年4月18日

伝承の難しさ

 

秋田県湯沢市岩崎八幡神社境内に鹿島様がいる。鹿島様の由来は諸説あるようだが、一般的には「人形道祖神」というのが定説である。道祖神というのは、道路の分かれ道や村や町の境界にいる神様のことで、ある種の結界を張っているのである。よそ者や悪霊、穢れている体の人は直接村に入れず道祖神によって清められると考えられてきた。岩崎にある鹿島様は3m以上ある(写真)。特徴あるお面と藁でつくられた体。稲藁は、近年品種改良で、短くなっているため、鹿島様の部位を十分に作れないところもあるらしく、鹿島様専用の藁を入手してつくるようになっている。屋根や空間を作り風雨に耐えるように工夫されており、2年に1回、衣装替えをする。2019年4月14日に鹿島祭で住民の各家庭から一人参加するというルールで受け継いできたが、そのつくり方は明文化されておらず、見様見真似でつくりあげている。誰がリーダーということはなく、黙々と部分をつくり、最後に衣装替えをする。この地域も他と同様に高齢化が進んでおり、2年後、4年後を不安視している。今、継承を考えないと手遅れになる、というところまできている。伊勢志摩地域でも伝統を継承するためにルールを変えてでも継承している地域があることを伝えた。一歩踏み出す時期がきている。