コラム13

2018年5月2日

わかめ

 

宮城県石巻市の雄勝町で戦前の暮らしについて聞き取り調査を行った時に、面白い話を聞いた。雄勝町でとれたわかめなどの海藻を鉄道で秋田まで運んでいたそうだ。一瞬、なぜだろう、と考えた。秋田でも海藻はとれるはず。なぜ、わざわざ不便な雄勝町からわかめを運んでいたのだろうか。ただ、全て売って帰ってきたそうだ。戦前には行商がたくさんいた。行商は情報と物を持って移動し、安く泊まれる木賃宿に宿泊していた人もいたそうだ。富山の薬売りも素晴らしい。日本中に薬を販売していたのである。この起源を調べると立山信仰に基づく修験者の檀家の布教などとも言われている。物だけ動いても面白味はないが、人が物を運ぶと急に面白さが生まれる。