コラム11

2018年3月27日

水には人が集まる

 

平成28年10月に名水サミットが志摩市で開催されました。私はこの時のパネルディスカッションでファシリテータを担当しました。志摩市で環境省指定の名水百選に選ばれているのが、恵利原の水穴です。伊勢神宮の近くにあり、この水穴は天の岩戸と呼ばれています。パネルディスカッションでは、戦前からの水にかかわる暮らしや、現在に至る話、未来に向けてどのような行動をとるか、について議論したいと思い、事前に90歳ヒアリングを行いました。もちろん、当時は名水に選定されていませんでした。しかし、その川は日常生活の賑わいの場や憩いの場でした。川で洗濯をし、情報交換の場だったのです。川には洗濯用の石が並んであり、川は大賑わいでした。子どもと一緒におしめを洗いに行き、子ども自慢やおかゆやおじやのコメの固さについて聞いたこともあったと言います。このように、コミュニティの中心に自然があったのが戦前の日本の暮らし方の特徴だと思います。自然に寄り添う暮らしとは、まさに、このような暮らしなのだと思います。