コラム8

2018年2月16日

草木にお供え物

 

北上市のみちのく民俗村において、2月15日、16日の二日間で旧暦の正月の行事に参加した。母屋、草木、道具にお餅をお供えする。このみちのく民俗村には、北上市内や東北地方の住居や曲り家などの母屋が移設され、多種多様の草木が敷地内にあり、昔の暮らしに必要だった道具類も見ることができる。これらの母屋、草木、道具に、旧暦の大晦日に餅をついて、お供えするのである。小動物やカラスなどの鳥がその餅を取っていってしまうこともある。ちょうど、私が参加した時にも、カラスが餅をくわえて飛んで行った瞬間を見た。草木は60種類以上あり、道具もこの敷地内に60種類以上あり、これらにお餅をお供えするのに、それなりに時間がかかってしまう。ただ、普段あまり意識しない草木への感謝の気持ちを表すことができた。季節感を持ちながら、動植物、道具、母屋に感謝の気持ちを表すこの年1回の行事は、生物多様性への意識を促し、人は自然に生かされているということを思い出させてくれる。ゆっくりと囲炉裏の火にあたりながら、そんなことを考えた二日間であった。