コラム3

2017年11月24日

90歳ヒアリング

 

富山で90歳ヒアリングを行いました。90歳ヒアリングとは、将来の厳しい環境制約の中で、バックキャストで心豊かな暮らし方をデザインするときに、全く新規にデザインするのではなく、同様に厳しい環境制約下であった戦前の暮らし方をヒントにしようとする調査手法です。既に、日本全国500人以上にヒアリングをし、多くの知恵を学びました。

最近実施した富山の90歳ヒアリングで実学の話が出てきたのでご紹介します。その90歳の方が子どものころ、近所のおじさんに、遠くにある橋の長さはどのくらいか、あの木の高さはどのくらいか等の質問をよくされ、そのような実学がその後暮らしの中で生きたというのです。今、そのようなことを子どもに質問して、近所の子どもたちを教育する人は少なくなったと思います。

現在、そのように子どもに応用力を教える機会が少なくなったのだと思います。現在、伊勢市にある高校との連携を進める中で、同様の話が出ました。最近の高校生は応用力がないというのです。一つの分野の手法を習得することはできますが、複数の異なる分野の知識を使って、応用して解を見つけていく発想ができなくなっているというのです。いろいろな原因が考えられますが、その一つには近所の子どもへ実学を教えるというコミュニティに存在した考え方が失われつつあるからだと思います。