2017年10月28日
コラムをはじめます
2017年10月28日に、岩手県北上市口内地区の口内町文化祭に参加した。この口内地区は、4年前からバックキャストを用いた北上ライスタイルデザインプロジェクトを実施している地域だ。南部藩と仙台藩の藩境に位置し、口内傘という和傘づくりをかつては行っていた地域で、かなりの数の和傘が東北地方に販売された。風が強かったこともあり、頑丈で長持ちする傘が特徴である。町中で分業して、傘づくりをしていた。これが江戸時代のいくつかの飢饉を乗り越えることにつながった。地産地消をしていた時期は良かったが、船運に恵まれたため、他地域から生産に必要な材料を取り寄せ、いつしか、外材だけでつくるようになり、いくつかの不況を乗り越えられず、明治後に伝承が途絶えた。今年から、ここで、バックキャストを用いて未来のライフスタイルをデザインし、「楽しみを自給する暮らし」を描き、「口内秘密基地プロジェクト」が開始された。子どもたちが親と一緒に秘密基地を里山につくり、家の中で電気を使って遊んでいるのではなく、自然の中で楽しみを見つけるプロジェクトだ。地域の将来への問題意識の高い有志が先導している。今日は、この口内町文化祭で、木材、鞄の端切れ、砂浜で拾った貝殻などを使って、ものづくりをするブースをつくった。子どもばかりでなく、高齢者まで行列で鞄の端切れを使ったイヤリングやストラップを作った。みんな、目が輝いていた。捨てられようとしていた物を豊かさに変えるのである。これがバックキャストで見出された心豊かな暮らしである。