コラム86

2021年4月24日

自然からいただく力

 

戦前の暮らしでは、家の中にも、屋敷の中にも、森の中にも、神様は存在していた。人々は、その力をいただくことで、無事に今日を過ごし明日を迎えられると信じていたのである。朝に夕に、感謝をこめて頭を垂れ、手をあわせていた。例えば、ある地域では、天気予報は神明社の高台に柱を立て、そこに旗を立て、赤・白・青などで晴れや雨を表していた。旱の時は雨乞いの行事があった。普段はひっそりしている雷神様が川にお降りになって、雨乞いをしたという。他にも、自然からいだたくものに関するエピソードがある。「夏は畑や田んぼに行くのは裸足でした。その辺に石があったり、田んぼに痛い草があったりするのね。「あ、いて、いて」と言いながらも、苦にもしないで歩いたんだよね。「足の裏は土からエネルギーをもらって、口の中には米のエネルギーをもらって、空気からお日様のエネルギーをもらって働くと、秋の豊作のときにはエデンの園のような気持ちになるんだ」というようなことを、おばあさんがよく話してくれたという。自然からいろいろなものをいただいていたという感覚をいだいていたのである。