コラム87

2021年5月14日

物質循環の成り立ち~ライフスタイルデザインから物質循環へ~

 

2005年以降、バックキャストを用いたライフスタイルデザイン手法を開発し、地域住民、企業、自治体らに利用していただき、そのライフスタイルの実現に向かうために越えなければならない障壁や越え方の検討を行ってきた。ライフスタイルをデザインする意味は、製品やサービスのデザインよりも、上位の概念で最適化が必要だと考えられるからである。製品やサービスをどのように利用するのか、利用する側の考え方、行動、それによって得られる心の豊かさの在り方がその後地球環境へどのような影響を与えるかを決定するからである。ここまでは前進してきたが、ある時、ライフスタイルデザインの数を増やせば増やすほど、それはジグソーパズルのピースを作っているに過ぎず、ピース同士がぴったりはまるように合わせるところまで進まないことに気づいた。デザインするライフスタイルはジグソーパズルの小さなピースに描かれている絵であって、他のピースとぴたりとはまるかどうかは、運でしかない。多様なライフスタイルがデザインされればされるほど、はまりにくい。はまりにくいと言っているのは、水と油のようだと言っているのではなく、概念として整合的であるが、物質循環が考慮されていないため、ピースがぴたりとあわないのである。当然と言えば当然のことであるが、その問題をクリアしない限り、デザインしたライフスタイルは絵に描いた餅になってしまう。ここで再度、戦前の暮らし方の凄さを知ることになった。