コラム101

2021年12月5日

因を決定するもの

 

結果の元になる原因を因と呼ぶとした時に、その因を決定するものについて考えてみたい。地方創生を活発化し、日本全体を持続可能な社会にするためには、東京一極集中の流れから、地方へ人の流れを向かわせる必要がある。その流れは必ずしも移住だけではない。一時的に定住したり、時々、地方で仕事したり、様々な形態があり得る。関係人口を増やすということである。人はどのようなライフスタイルやワークスタイルを望んでいるのか、そのニーズを満たすために環境整備が進んでいる。地域おこし協力隊もその一つの制度であり、ワーケーションの動きもそのうちの一つである。これらはニーズを満たしたい人を対象にしている。一方、人と人、あるいは人と地域の関係づくりにおいては、ニーズを満たした結果としての関係構築だけでなく、地方へ移住する因のきっかけとなる「何か」を考える必要がある。そこの地域になんとなく行ってみたい、旅先で出会ったあの人は今ごろ何をしているのかな、もう一度行ってみようかな(もう一度そこへ行っても会えるはずもないのに)、と思うことは誰でもあるはずだ。これは、ニーズを満たしたいという因とその結果としてその地域へ行くというプロセスとは異なる。因を決定するものに関することである。ある人に降り注ぐイベントのどれが因に影響を与え、因が生起し、地域との新たな関係という果につながるのだろうか。少なくとも、高校生や大学生など未来に向けて自由度が高く、可能性が広がる世代や明確なニーズがない人にとっては、この因を決定するものがその後の人生に強い影響を与える。地方で生まれ育った人はなんとなく東京へ向かう。この流れをどのように変えるかは因を決定するものについての探求が必要不可欠である。