コラム105

2022年2月14日

若者の目線

 

地方の大学生と地域について話をした。地方の大学生から地域課題がどのように見えているのだろうか。彼はこのように言った。多くの人は、夢を持って何かをやりたいと思った場合、その地域を出ていく、という思考になっているというのである。その地域に留まっていたら成功につながらないと思えるからだ。これでは地域から出ていく一方である。どこにいても夢を持って何かを実現できる、という思考に変える必要があるのだ。彼はさらに、このようなことを言った。「まずは自分で考えて、人のことを良く聞くことだ」。昔、学校で教室が騒がしかった時、先生が何も注意をしなかったことがあったそうだ。かなりうるさくなるまで放っておかれ、やがて、生徒の中で誰かがうるさいことを嫌がり、声を出して止めようとする人が現れる。友達が言うことは聞く生徒が何人かいるからだ。他の生徒たちも異変に気付き、静かになっていく。先生は何も言わずに静かにすることができたのである。ここで、先生が仮に毎回静かにしろと注意をし続け、それに慣れてしまうと注意をされない限り静かにしないようになる。彼は、注意をしなくても周囲の人の力で自然と人を静かにさせることができることに気づいたのである。いつの間にか地域から出ていくことが良いと思うことに慣れてしまうと、自分で考え直す力が身につかない。90歳の方々が戦前の暮らし方の話をされるときに、同じようなことを言われる。コミュニティの力で子どもを育て、コミュニティの力で人々の絆を強くできるが、それを維持するためには我々は努力しなければならないと。