コラム108

2022年3月27日

アジア・太平洋地域の関心

 

先日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と東京都市大学の共催で、さくらサイエンス・ハイスクールプログラム「オンライン大学訪問」を実施し、アジア・太平洋地域をはじめとする世界中から高校生・大学生を中心とする約2,000人が参加した。同プログラムは、JSTが新型コロナウィルス感染拡大の影響により直接的な招へいができないさくらサイエンスプログラムに代わり、来日できなかった海外の高校生等に日本の大学への疑似訪問体験を提供し、優秀な高校生の日本留学に向けて日本の大学をPRすることを目的に行われた。たまたまであるが、私が担当している東京都市大学大学院環境情報学研究科「地球規模の環境・社会問題の解決に貢献する問題解決型イノベーション人材育成プログラム」が国費留学生優先配置プログラムに採択され、人材養成が開始されているため、このイベントでこのプログラムを知っていただくと共に、ライフスタイル変革の研究の紹介も行った。バックキャスト思考、ライフスタイルデザイン、戦前の暮らしに学ぶ、自然に学ぶネイチャーテクノロジー、イノベーションエコシステムなど、映像・実演を含めて30分ほどで紹介した。この中で、アジア・太平洋地域の高校生・大学生の関心が高かったのは、ネイチャーテクノロジーだった。新しい世界だ、という位置づけである。実は新しいものではない。この地域では欧米の文化が先に入っており、もともとの暮らしの中に未来のヒントがあるとはほとんどの人が思っていない。日本に学びに来る学生には、持続可能であった自分たちの知恵や技術、さらに自然が保有する技術を再認識することを伝える必要がありそうだ。