コラム112

2022年5月28日

柿の木

 

戦前の暮らしでは、柿の木が日本全体で登場し、干し柿、柿の葉の利用、季節を感じさせる景観を生み出していた。甘がき、渋柿、一つの柿でも甘いところと渋いところがあったりもする。近年、柿が下に落ちて汚らしくなり、明らかに利用されずに放置されてしまっている柿の木がある。柿の木の様子からもその地域の状態をうかがい知ることができる。本当に危機的状況にある集落は、外に対してサインを出しているのである。一つは柿の木、もう一つは荒れた森、さらに、空き家が崩壊して中身が見えている状態のままになっていること。牛舎などしばらく使われなくなり、そのまま放置された状態になっていること。地域活動をしても、もう若者がいないんです、60歳が最も若いのです、というように、このままいくと何年後に消滅する、というのが明らかな地域もある。地域活性化の肝は、地域の人主導の活動である。この灯が消えた時、長く守り続けてきたその地域の人の暮らしが途絶えてしまう。消える前に何とかしなければならない。