コラム113

2022年6月12日

人の流れの変化

 

少子高齢化の中で人は東京都へ集中する傾向にあったが、2020年以降、東京都は転入超過が緩和される方向に向かった(2019年82,982人転入超過→2020年31,125人転入超過→2021年5,433人転入超過)。予想しなかった変化である。新型コロナウイルス感染拡大で在宅勤務が一気に普及し、オンライン会議が通常化し、新しい働き方や新しい暮らし方へ移行したことも一つの要因だろう。三重県では2010年からは転出超過が進みつつあったが、2020年以降転出超過は緩和されている(2019年6321人転出超過→2021年3040人転出超過)。宮城県ではそれほど変化が顕著ではない。地域によって傾向が若干異なる。これは新しい働き方や暮らし方への転換の予兆なのだろうか。新型コロナウイルス感染拡大からの経済復興にあたり、環境に配慮した回復を目指すことは、世界的にグリーンリカバリーと呼ばれているが、都市から地方への人の流れが本格的に動き出し、自然共生社会や循環型社会に移行することができれば、まさにグリーンリカバリーになる。いずれにせよ、このような傾向はそう簡単には戻らないだろう。移住は簡単に元に戻せないため、しばらくはその人にとって制約となるため、移住した後にその制約の中の豊かさを発見するだろう。何らかの新しい流れが生まれるに違いない。