コラム114

2022年6月26日

ディーセントワーク

1999年の第87回国際労働機関(ILO)総会において提出されたファン・ソマビア事務局長の報告において用いられた概念である。ディーセントという日本語は、きちんとした、まともな、などの意味があるが、ディーセントワークは、ILO駐日事務所のHPによると「働きがいのある人間らしい仕事」と訳される。今、コロナ禍を経て、ワークスタイルが変わろうとしている。単純に働き場所に自由度ができたことだけではない。居住地を東京から地方へ移動する人も増えている。効率だけを考えた移住ではないはずだ。近い将来、激動の社会が来るとしたら、このディーセントワークとは何かを各個人がしっかりと持っている必要がある。私が2011年に書いた本『未来の働き方をデザインしよう』(石田秀輝・古川柳蔵・コクヨ(株)RDIセンター、日刊工業新聞社)の中で、バックキャストを用いてワークスタイルデザインを数多く実施し、その時に考えた概念とは少し違う。「「働く」ことは、生活の一部であり、家族を、そして、生活を支える糧を得ます。だからこそ、その仕事を多くの方から評価してもらい、自らもその仕事に価値を見出すことで、精神的・経済的な充実感を得ることができるのです。つまり、職場はまさに生活における重要な舞台なのです。ここではそれを、生活舞台と言います。企業は「生活舞台」を提供し、働き手は「踊り手」、「観客」は顧客です。そして、その舞台での「舞い」そのものが、ワークスタイルと言って良いでしょう。」と書いた。この「舞い」がディーセントでなければならないということだろう。