コラム124

2022年11月19日

物質循環が成立する過程

 

かつて、稲わらが利用されていなかったころ、稲を刈りとった後の稲わらはそのまま放置されていた。それは土に戻った。ゆりかごから墓場までの距離が短かった。やがて、誰かが稲わらの利用方法を考え出した。つまり用途を生み出した。その結果、稲わらは直ぐに捨てられるのではなく、何かに利用されることになった。何が最初の用途かは不明であるが、縄への利用はその一つである。そして、燃料への利用、縄だけでなく、行事での利用へも広がったと考えられる。いずれの新用途の発見はその人が稲わらを活用しようとする利己的な行動が伴う。利己的な行動により多くの用途が生み出され、稲わらは最終的には様々な用途で利用されるようになった。このプロセスで利他の意味はほとんどなく、利己が新用途の開発、つまり、イノベーションを起こしている。地球の土に生み出されてから灰になるまでの利用寿命が徐々に延びていったものと考えられる。土から生み出され、土に還る間の時間が延ばされていく過程が物質循環が成立する過程である。土に戻るまでの間の用途が多数生み出されることが物質循環を生み出すということになる。今、私たちは循環型社会に向かおうとしている。社会貢献として向かおうとしているかもしれないが、真なる物質循環は利己的な行動により生み出すことができるはずである。廃棄せずに用途を探し出す行動こそがサーキュラーエコノミーの原点である。