コラム126

2022年12月18日

昆虫食を初めて食べた時の反応

 

私の研究室に未利用資源の研究から派生して昆虫食の研究を行っている学生がいる。研究支援として昆虫食を食べることにした。昆虫食はとても一人では食べられない。エビ、カニは食べられるのに、細い脚、顔、腹の部分、いずれを見ても感覚的の食欲がわかない。欧州の論文によると昆虫食バンケットを開催し、食べている事例が紹介されていた。我々も同じように昆虫食バンケットを研究室の少数の学生と私で開催した。昆虫食はタイなどから輸入されているものを使った。コオロギ、蚕の幼虫などである。コオロギには塩味とBBQ味がある。皆でテーブルに昆虫食の入った袋を並べて、さて、食べようとバンケットを開始した。一人目が思い切って食べた。エビの味だと叫んだ。直ぐに自分の番が回ってきた。パッケージをじっくり見て、袋を開けて、おそるおそる手のひらに一粒乗せた。その瞬間びびっと電気のような衝撃が走り、うわあああと叫んだ。落としてはいけないと思い、手のひらの上に乗せたまま心を落ち着かせた。塩味のコオロギをじっと見つめて、もう後がないと思い、口の中に運んだ。勢いで噛んでみるとエビではないが、お酒のつまみには良いかなと思った。しかし、二個目は喉を通らなかった。粉っぽく、むせる人もいた。数週間が過ぎ、再度、昆虫食バンケットを開催し、昆虫食を食べた。二度目は手のひらの上に乗せても電気のような衝撃は走らなかった。もう一つ別の昆虫を手に取り、パクっと食べることができた。今度は素材の味を味わった。異なる昆虫でも同じような素材の味を感じるようになった。これが虫の味かと。しかし、二個目は喉を通らなかった。パクパク食べられるように味付けの開発が必要だ。