2021年2月7日
Backcastingからバックキャスト思考への道のり~ライフスタイルデザインの二つ目の壁~
ライフスタイルを数多くデザインしていくと、これ以上アイディアが浮かばなくなる最初の壁が存在した。私自身の場合は約30種類描いたところで訪れた。なぜ、描けないのか。この壁を越えられない限り、ライフスタイルデザイン手法は、手法と呼べない。ライフスタイルデザイン手法は、第一に信頼できる予測データを用いて大枠としての環境制約条件を定める。第二にその環境制約条件下で想定される社会状況を議論する。第三に現在の暮らしを見て、将来発生する問題を発見する。第四にそれを解決する方法を考え、第五にその将来問題が解決するライフスタイルをデザインする。30種類程度しかライフスタイルが描けないというのはどういう意味だろうか。数か月間悩み、簡単なことに気づいた。第五ステップで描くライフスタイルが30種類しかないということは、第三ステップで発見した将来問題も30種類しかないということだ。将来問題の見つけ方が甘いのだ。それではなぜ将来問題が見つからないのか。それは将来問題を抽出する根拠となっている環境制約条件の理解が甘いからである。私は再び環境制約条件を理解する努力をし、現在の暮らしの中で隠れている将来問題を探そうとした。その結果、環境制約条件は人口、資源、エネルギー、地球温暖化、水、食料、生物多様性などその他の7つのリスクに分けて整理していたが、実は、資源問題だけ考えたり、エネルギー問題だけ考えたり、と融合領域の問題を見落としていることに気づいたのである。この結果、数多くの将来問題を見出すことができ、それらを解決するライフスタイルも必然的に増えていった。これが一つ目の壁の正体である。この後、70種類くらい描いたところで、二つ目の壁にぶつかった。