コラム77

2020年11月29日

Backcastingからバックキャスト思考への道のり~初期のメソドロジー~

 

Robinson J.B(1982)のEnergy backcasting A proposed method of policy analysisと題する論文には、backcastingのステップが、(1)~(6)まで記載されている。(1)Specify goals and constraints, (2)Describe current energy consumption and production, (3)Develop outline of future economy, (4)Undertake demand analysis, (5)Undertake supply analysis, (6)Determine implications of the analysisである。このbackcastingはエネルギー政策を検討するための手法であるため、(2)で現在のエネルギー消費と生産を調査し、(3)で将来の経済のシナリオを作成し、(4)(5)で需要と供給の道筋を分析していき、(6)でインプリケーションを得るというのは理解できるが、(1)の「ゴールと制約の設定」については、メソドロジー的解説はなく、アウトプットの事例のみ提示されていた。何がゴールで何が制約なのか、定義は書かれていない。そして、列挙された「ゴールと制約」の最初の事例に、「完全に再生可能資源とソフトテクノロジーに基づく社会」があった。二番目には「エネルギー生産の分散化の加速」が挙げられていた。これらのどこがゴールでどこが制約なのか。ゴールと制約は何が違うのか。そもそも「再生可能資源」、「ソフトテクノロジー」、「エネルギー生産の分散化」というものが何を根拠に抽出されたものなのか書かれていない。どういうことだろうか。ここからしばらく産みの苦しみを味わうことになる。