2020年11月15日
Backcastingからバックキャスト思考への道のり~出発地点~
2005年、社会人でも環境が学べるコースを立ち上げるため私は東北大学大学院環境科学研究科へ移った。このコースはe-learningも活用し、欧米の環境科学の専門家や活動家の講義を数多く受講するものであった。今ではオンライン授業が一気に普及したが、当時では新しい取り組みであった。私は講師の選定・交渉・撮影・調整なども行っていたことから、当時の先端を行く有識者から最新の情報を得ることができた。新鮮な気持ちで融合領域に飛び込んだのである。まず、「バックキャスティング」、「ライフスタイル」、「自然から学ぶ」という3つの言葉に出会った。私の中ではこれらはバラバラであったが、やがて切っても切れないものになっていく。その当時、日本でも多くの環境科学の有識者はバックキャスティングという言葉を使っていた。しかし、具体的な手法論はどこにも書いていない、誰も語ってはいなかった。そこで、バックキャスティングを調べると必ず登場するスウェーデンの団体を訪問し、バックキャスティングの手法の手掛かりを探しに行った。ビジネスで使用しているというので、ノウハウが蓄積しているはずだ。しかし、私が未熟だったためか、収穫はなかった。繰り返しやる必要がある、ということだけが脳裏に刻まれ、何の意味がある手法なのか検討もつかなった。あっという間に頼る人がいなくなり、自分自身でバックキャスティングという言葉を論文、書籍などから探そうとした。そこで、見つけたのがRobinson J.B(1982)のEnergy backcasting A proposed method of policy analysisと題する論文であった。