コラム75

2020年10月31日

バックキャストのルーツ

 

現在、553件のバックキャスト関連論文・書籍が存在する。これらの論文について年平均被引用数を見ると、上位20の論文が極めて他の論文に引用されている。これらの論文は質が高いと解釈される。この質の高い上位20位の論文は、過去のバックキャスト関連論文を引用して論を展開しているはずであり、調べてみると、Robinson J.B(1982)のEnergy backcasting A proposed method of policy analysisにたどり着く。何も引用せずに用いている論文が数件あるが、それ以外はこの論文を起源とする。しかし、実際は、それよりも古いバックキャスト論文・書籍が存在する。Robinson(1982)によれば、Amory Lovinsが1976年、1977年に日本やカナダを事例にバックキャストを適用して分析したようであり、また、Backwards-looking analysisという言葉が使われ、分析に主眼が置かれているのがわかる。1973年にCole H.S.D. and Curnow R.C.が”Backcasting” with the world dynamics modelsを発表している。1974年にはBela GoldがFrom backcasting towards forecasting を発表しており、その中に、既にBackcastingはwidely used methods of estimating probable future adjustment pathsと記載され、広く使われていると書かれてある。また、Gold B(1964)Industry growth patterns: Theory and empirical findings. J. Ind. Econ., 53-73でBackcastを導入したと書かれてある。私はRobinson(1982)を引用し、バックキャスト思考を考案した。当時のバックキャストのステップが具体的に書かれてあるからである。