コラム72

2020年9月21日

90歳が私に伝えようとしたこと~昔も今もどちらも良い~

 

90歳ヒアリングでお会いした高齢者の方々に、ヒアリングの最後の方の質問で、「今のような便利な暮らしと昔の暮らしとはどちらが良いと思いますか」と尋ねると、ほとんどの方々は、「どちらも良いですよ。今は便利になって本当に楽になりました。ただ、昔も昔なりに違った意味で良かったですよ。」と回答される。ここからは私の解釈になるが、90歳が私に伝えようとしたことは、便利だったことは素晴らしいことであり、一方で、不便の中にも良いことはたくさんあるということだと思う。今はお金でできたものを購入できる。昔は、自分で手づくりするが、手づくりには愛着がわく。今、便利を手にしたから、手づくりを不便だと解釈する。昔は当然のことだったので、不便だとも思っていない。何に重きを置くかという「価値転換」が起こっていることを忘れてはならない。そして、「価値転換」は自由に起こすことができる。また、強い制約により起こることがある。そのため、再び手づくり品に価値が出てくる可能性は十分にある。電車移動ではなく、歩きや自転車移動に価値が置かれる可能性は十分にある。コロナ禍では実際にそれらが起こったのは多くの人が体験したところであろう。これまでもコラムに書いてきたバックキャストによるライフスタイルデザインとは、地球環境制約を根拠に、「価値転換」を自ら起こしていくプロセスである。