コラム70

2020年8月29日

90歳が私に伝えようとしたこと~自然との距離感~

 

日本の戦前の暮らしでは、人と自然との距離が興味深い。一つ目の特徴は、自然は恵みを与えてくれるが脅威にもなる、という両面への理解である。二つ目は、自然を溺愛するような極端な感情はないが自然の美しさに感動する一方、蝉を食べた、蛍を取ってきてビン詰めにすることもできる点である。鶏や豚を解体し、余すとことなく食べつくす。三つ目は、先祖を敬う長期的な時間軸を持ちながら、一期一会のように今を大切にする点である。自然の循環と各生命の時間軸にあった考え方である。これらの相対する考え方の共存は、自然の中で生きる強さにつながっている。社会的レジリエンスの根底にあるものである。相対する考え方があれば、どちらかに偏っていくことはない。ちょうどよい距離感を保ちづけられるのである。90歳ヒアリングを始めたころは、どちらが正解なんだろうと、考えていた頃もあったが、これは両立に意味があるのではないかと最終的には思うようになった。まだまだ学ぶべきことはたくさんある。