コラム44

2019年7月22日

Biologically inspired design

 

Biologically inspired designと呼ばれる生物模倣の研究分野がある。生物からアイディアを発想し、技術開発を行い、人間界で問題解決に応用するのである。例えば、ミミズは、蠕動(ぜんどう)という方法で移動する。ミミズを眺めていて、この運動に関心が生まれ、この動きを「人工筋肉」などで再現したミミズ型ロボットの開発に取り組んだという。その後、マスコミに取り上げられ、多くの企業が、菅の清掃に使えないか、月面で穴掘りに使えないか、など応用方法の提案が相次いだという。なぜだろうか。中央大学教授と議論した。面白い仮説が生まれた。まず、多くの企業人はミミズをじっと見ていることはこれまでなかったのではないか。田舎に住んでいる人もそうかもしれない。また、ミミズをじっと見たとしても、そこから応用シーンがイメージできなかったのではないかということである。ミミズ型ロボットは、ミミズの動きの一部を強調してつくるので、機能が明確になるという。その結果、ロボットを見ていると、ミミズ型ロボットの応用方法がイメージできたのではないかということである。自然から学ぶものづくりを促進する方法の一つが見えた気がする。